ちょっと遡って、今から2年前の話。

 

総合偏差値が30前後の高1男子生徒の家庭教師をしていました。

 

 

学校の成績は下から数えた方が早く、

口ぐせはいつも「すみません・・・」

 

 

医学部志望。

 

 

自主的には勉強を全くやらないのだけど、

あくまでも医者になりたいらしい。

 

 

その生徒の父親は、

慶應義塾大学出。

 

 

誰もが知っているような大企業に勤められていて、

組織をまとめる役職の方。

 

 

だから生徒本人は、

最低でも犒脹以上瓩離好董璽織垢欲しいらしい。

 

 

 

ここで便宜上、仮名をつけようと思う。

 

 

「滝沢龍(たきざわりゅう)」

 

 

 

 

 

 

 

龍くんは、いかんせんプライドばかりが先行してしまっていて、

現実を直視できないまま時間だけが流れている。

 

 

底なし沼のような父親コンプレックスを持っていて、

劣等感の塊状態に陥ってしまった男の子なのだ。

 

 

 

なんとかしてやりたいのだけど、

宿題をやらないのが当たり前になっているので、

授業はなかなか進まない。

 

 

こちらが出した宿題を、

次の授業で仕方ないので一緒に解くという悪循環。

 

 

龍くん本人もやりがいを全く感じれないので、

問題を一緒に解こうにも脳みそが拒絶反応を出してしまい、

マンツーマン授業なのにも関わらず途中で寝てしまうのだ。

 

 

 

それでも学校の定期試験は待ってはくれいないので、

こちらとしては自信をつける糸口を見つけようと、

とにかく長時間根気よく教えた。

 

 

定期試験では赤点が当たり前になっていたので、

どの教科から手をつけて良いのやら分からない状態だったけど、

持っているものは決して悪くなかったので、

とりあえず力技で数学を叩き込んだ。

 

 

 

結果は数学89点、クラス2位。

 

他の教科は相変わらず赤点ざんまい。

 

 

 

気をよくした龍くんは、

とんでもなことを言い出す。

 

 

「先生、俺、東大医学部を目指したいです」

 

 

 

正直、このエピソードはビリギャルのような痛快シンデレラストリーではない。

 

 

ここから東大医学部に受かるまでの道のりを歩む、

と言いたいところだけど、

そんなことは現実には起こらない。

 

 

本人はいつもダラダラしていて、

行動が全く伴わないのだ。

 

 

「ビリギャル」ならぬ「ビリだる」。

 

 

 

 

 

 

まずは幻想ではなく、

本当の自分自身にフォーカスを当ててもらうべく、

河合塾の全国模試を受けてもらうことにした。

 

 

 

結果は、散々。

 

 

 

本人としても思った以上に解けず、

数学の途中で嫌になって放棄してしまい、

英語は受けずに帰ってきてしまった。

 

 

 

僕は、龍くんに本当の自分を取り戻して欲しいという気持ちでいつも教えている。

 

 

だからなるべく本心を伝えてやろうと思っている。

 

 

 

「目標の前にまずは現在地を知らなければ地図はなんの意味もなさないよね。

 

龍くんは、勇気がないんだな。

 

目的地の地図ばかりを見て、

現在地を知ろうとする勇気がない。

 

医学部に行きたいんだよね?」

 

 

 

本人は声を震わせ感情的にこう切り返す。

 

 

 

「やっとやる気を出して目標作ってやってこうって思ってる時に、

なんでそんなこと言うんですか?

 

落ち込んでる生徒を励ますのが先生の役目じゃないんですか?」

 

 

 

 

「うん、医学部志望じゃなければね。

 

慰めから入るだろうね。

 

 

でも医学部に行きたいんだろ?

 

医者って励ます側の職業だろ?

 

患者を癒し励ます側の人になりたいじゃないのか?

 

 

そんな励ましてもらう側に立った弱いメンタリティでは、

スタート地点にも立てないでしょ」

 

 

 

 

僕は頭ごなしに君には無理だと言うような先生にはなりたくない。

 

誤解して欲しくないのは、

この時、龍くんには医学部に行けるチャンスは十分にあった思う。

 

 

高校1年。

 

夢を諦めるにはまだ早い。

 

 

 

しかし、

それは心の底から実現させたい本当の夢ならの話だ。

 

 

 

龍くんは、医者になりたいなんて思っていなかった。

 

医者というステータスが欲しいだけなのだ。

 

だからろくに調べもせず簡単に東大医学部とか言えてしまうのだ。

 

 

 

 

 

「じゃあ、先生は俺にどうしろって言うんですか!?」

 

 

 

「簡単だよ、医学部にあと2年で受かるためにやらなければならないことを、

地道にやっていけばいいんだよ。

 

まずは基礎力の向上だね。

 

龍くんは中学レベルで英語が止まっているから、

単語を次回までに100個と、中1の英文法問題集100ページと、

あとは小6用難関中学受験学向けの計算問題を20ページ。

 

この辺から始めてみようよ。」

 

 

 

「え、今から小6計算とか有りえないんですけど。

 

中1英語の問題集なんて、

今さらモチベーション上がるわけないじゃないですか。」

 

 

 

 

 

「モチベーションは医学部に行きたいって気持ちで十分でしょ!

 

こっから一緒にがんばろーぜ!」

 

 

 

 

 

そして・・・、

 

次の授業で最後になってしまった。

 

 

 

案の定、宿題にほとんど手をつけていなかったのだ。

 

 

 

 

 

「先生はいつも、龍くんのやる気を言葉ではなく宿題で見ているんだ。

 

宿題をやっていないってことは、

医学部に行きたいって気持ちは嘘だったってことでいいかな?」

 

 

 

「もういいっす。自分でやりますわ」

 

 

 

 

 

 

それからあっという間に、

2年近くの歳月が流れたある日。

 

 

 

突然、龍くんから電話がかかってきた。

 

 

 

 

 

「もしもし、先生ですか。

 

相談に乗って欲しいんですけど。」

 

 

 

 

 

「おお〜、久しぶり!

 

元気にしてた?

 

勉強、頑張ってる?」

 

 

 

 

 

「俺、学校でまたビリになってしまいました。

 

このままだと卒業できないです。

 

助けて下さい」

 

 

 

 

 

「・・・わかった、じゃあ日程決めてとりあえず会おう」

 

 

 

 

 

なんでしょう、この不吉なドキドキ感は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

次回に続く!!

 

 

 

 

 


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